「これって本当?」LINEや口コミで広がる健康デマを見抜くための具体的なチェックポイント
はじめに:身近な健康情報に潜むリスク
私たちの日常生活において、健康に関する情報は非常に身近なものです。特にLINEのようなメッセージアプリや、友人・知人からの口コミを通じて、「これを食べると良い」「この健康法を試したら治った」といった情報が広まることは珍しくありません。しかし、その中には根拠のないデマや誤情報が紛れていることも少なくありません。良かれと思って共有された情報が、かえって誤解や不安を招いたり、時には健康被害につながったりする可能性もあります。
このコラムでは、LINEや口コミで広がる健康情報に惑わされず、その真偽を冷静に見極めるための具体的なチェックポイントをご紹介します。
なぜ人は健康デマに惑わされやすいのでしょうか?
健康に関するデマや誤情報が広がりやすい背景には、いくつかの心理的要因が考えられます。
- 不安の解消と期待: 病気への不安や、より健康になりたいという強い願望は、魅力的な「特効薬」や「奇跡の治療法」に飛びつきやすくさせます。
- 「誰かのためになる」という善意: 友人や家族の健康を気遣う気持ちから、「これは良い情報だ」と信じて安易に共有してしまうことがあります。
- 権威への信頼と誤解: 専門家のような言葉が使われていたり、テレビやSNSで話題になっていると聞くと、それが事実であるかのように感じてしまいがちです。
- 「今だけ」「限定」といった焦り: 「今すぐ試すべき」「この機会を逃すと損をする」といった煽り文句は、冷静な判断を妨げます。
これらの心理につけ込み、デマや誤情報は巧みに私たちの心に入り込んできます。
LINEや口コミの健康デマを見抜く具体的なチェックポイント
ご自身や大切な方が健康デマに惑わされないために、情報に触れた際に以下のポイントを確認する習慣をつけましょう。
1. 情報源はどこですか?
- 誰が発信している情報なのか: 送られてきたメッセージやウェブサイトの情報を、よく確認してください。情報源が不明瞭な場合や、個人ブログ、匿名の投稿、企業の宣伝目的の記事などは、特に注意が必要です。
- 信頼できる機関や専門家からの情報か: 厚生労働省、国立がん研究センター、国立医薬品食品衛生研究所、各学会、公的病院などのウェブサイトは、信頼性の高い情報源です。医師や薬剤師などの専門家が実名で発信しているか、その専門家の所属や経歴が明確であるかも確認しましょう。
2. 内容は極端ではありませんか?
- 「〇〇だけで病気が治る」という断定的な表現: たとえば「この食材を食べるだけでがんが完治する」「このサプリメントを飲むだけで全ての病気が予防できる」といった、単一の方法で全ての効果を謳う情報は、ほとんどの場合が誤情報です。健康や病気は複雑な要因が絡み合っており、万能薬は存在しません。
- 「病院では教えてくれない秘密の治療法」という煽り: 医療機関や一般的な治療法を否定し、独自の、あるいは「隠された」方法を推奨する情報は、非常に危険です。信頼できる医療機関や専門家は、科学的根拠に基づいた情報を提供します。
3. 客観的な裏付けがありますか?
- 他の情報源でも同じ内容が報告されているか: 一つの情報源だけでなく、複数の信頼できる情報源で同じ内容が裏付けられているかを確認してください。検索エンジンでキーワードを入力し、公的機関や学術機関のウェブサイトを調べてみましょう。
- 科学的根拠(エビデンス)は示されていますか: 「臨床試験で証明された」「学術論文で発表された」といった記述がある場合は、その論文のタイトルや出典が明記されているかを確認し、実際にその論文が存在し、内容が正しく引用されているかを調べてみてください。単なる個人の体験談や感想は、科学的な根拠とはなりません。
4. 過度な宣伝や購買を促す要素はありませんか?
- 高額な商品やサービスの購入を強く勧めていないか: 健康情報に見せかけて、特定の健康食品やサプリメント、高額な医療機器、サービスなどを強く勧める内容は、営利目的の可能性が高いです。その効果が誇張されている可能性があります。
- 個人の情報入力を求めたり、不審なリンクへ誘導したりしないか: 無料のセミナーや診断と称して、個人情報を取得しようとする場合や、安易にクリックできない不審なリンクが含まれている場合は、詐欺やフィッシングの可能性も考慮し、慎重に対応してください。
5. 情報は最新のものでしょうか?
- 情報が発信された日付を確認する: 健康や医療に関する情報は日々更新されています。古い情報が、現在の常識と異なる内容になっている場合もあります。いつの情報であるかを必ず確認しましょう。
もしデマだと気づいたら:適切な対処法
友人や家族から送られてきた情報がデマだと気づいた場合、どのように対処すれば良いでしょうか。
- 安易な拡散は止める: まず、その情報をさらに広めることは避けてください。
- 冷静に、そして優しく伝える: 送ってきた相手に対して、「これは誤情報かもしれませんよ」と優しく伝えることが大切です。相手を責めるような言い方ではなく、「公的な情報源で確認してみたところ、異なる情報が見つかりました」といったように、客観的な事実に基づき、相手が感情的にならないよう配慮しながら伝えてみましょう。
- 信頼できる情報源を共有する: 例えば、厚生労働省のウェブサイトや、専門機関が発信する正しい情報のリンクを教えてあげることも有効です。
まとめ:冷静な判断が、あなたと大切な人を守ります
インターネットやスマートフォンの普及により、私たちは日々膨大な情報に触れています。その中で、特に健康に関する情報は、私たちの生活に直結するため、一見すると魅力的で、すぐに信じてしまいがちです。しかし、そこに潜むデマや誤情報が、あなたや大切な人の健康を害する可能性もゼロではありません。
「これは本当だろうか?」と一歩立ち止まり、今日ご紹介したチェックポイントを参考にしながら、情報源や内容の正確性を冷静に判断する習慣を持つことが、デマに惑わされないための最も確実な方法です。信頼できる情報を見極める力を身につけ、安心して情報と向き合いましょう。